目細八郎兵衛商店
石川・金沢にある創業440年余り続く加賀毛針と縫い針の老舗。
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そこは、金沢表参道 目細通り
加賀前田藩が城下を開く以前から金沢に入り、針の製造販売を行って440余年。
はりよしとも縁が深い目細八郎兵衛商店を取材させていただきました。
めぼそ針
八郎兵衛の万人に愛される縫い針
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成形の難しい絹針の目穴/目度(めど)に、初代八郎兵衛は京都系統の技術に独自の工夫を凝らして今の目細針を作り上げました。
その結果、糸が通しやすく先が鋭い優良な針であるとして、加賀藩主より「めぼそ」を針の名前として頂戴しました。
目細八郎兵衛商店の縫い針は、今でも多くの方にご愛顧頂いており、また金沢の伝統工芸を支える存在となっています。
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当初の看板を今も受け継いで使われています。
筆跡鑑定により、加賀藩からの頂きものであることが証明されています。
右上が黒くなっているのは、過去の火事が原因。
江戸時代、藩政時代の金沢は火災が多かったようです。
加賀毛針
伝統の技術が生み出す鮎毛針
江戸時代、川釣りは武士だけに許された特権で、明治になり庶民が川釣りを楽しむようになると
毛針の需要も格段に増え、毛針職人も多く誕生しました。
明治23年(1890年)「第3回内国勧業博覧会」にて加賀毛ばりが褒状を受賞。
加賀毛針の品質と名声が広く全国に伝わり、加賀針元祖の名誉を拝することとなって以来
加賀の優れた伝統工芸に通じる繊細な仕事で、美しく高いクオリティの毛針を作り続け
多くの方にご愛顧いただいております。
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見るほどに美しい。
加賀毛針は非常に高度な技術が必要とされており、熟練の職人でも一日30本が限度だそうです。
”鮎との知恵比べ” というワードが印象的でした。
針は鮎との状況に合わせ、毎年数種類開発しています。
創業時から、4000に及ぶ種類が作られています。
加賀毛針の原点は、縫い針を武士たちが曲げたことでした。
現代では目細八郎兵衛商店で釣り針自体の製造はしておらず、一部の製品にはりよしの針を使っていただいています。
フェザーアクセサリー
加賀の伝統の技を身に付ける
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加賀毛針をアクセサリーにする。
そのアイデアは、意外なところから生まれました。
約30年ほど前、ブラックバス釣りが空前のブームであったことを記憶されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ブラックバスはプラスチック製のルアーで釣ることが多い魚です。
目細八郎兵衛商店でもブームに合わせ、加賀毛針の技術を用いて、毛針製のルアーを販売しました。
すると、縫い針を買いに来られた女性のお客様から「すごく綺麗だから、アクセサリーとして使いたい。」と次々に声が上がりました。
そこから、針の上に安全ピンを取り付けて、帽子に付けたり、胸に付けたり、ペンダントにするなどの商品を販売したところ、アクセサリーとしてヒット商品が誕生しました。
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はりよしの代名詞「ウェーブライン」を用いたブローチ
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ちょうど職人さんがウェーブラインのブローチを作成されているところを撮影させていただきました。
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店頭で販売しているアクセサリーはすべて彼女の手作り。
可愛いらしい見た目からは想像できない技術力の高さに驚きました。オーダーメイドのアクセサリーも作成可能です。
アクセサリー作りを体験
目細八郎兵衛商店では、伝統工芸を用いたアクセサリー作りを体験することができます。
先代社長のお話はとても魅力的で、加賀毛針の歴史をわかりやすく教えていただけます。
先代社長は、はりよしの先代社長とご兄弟の関係でいらっしゃいます。
そして、ウェーブラインの名付け親なのだそう。
なぜ、その名前にしたかを聞くと「波打ってるから~」と無邪気な笑顔で答えてくださりました。
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ひこそのまちやど
趣ある町屋でのんびりと「金沢暮らし」を堪能
目細八郎兵衛商店が手掛けるプライベートゲストハウス。
昭和4年建築。大部分を当時のままに改装しています。
この町家は工務店を営む大工が自身の住処として建てられたもので随所にこだわりが感じられます。
取材の際に筆者も宿泊させていただきました。
加賀百万石の歴史・伝統・文化を堪能することができます。
きっと今まで以上に金沢の魅力を感じることができると思います。
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おわりに
いかがだったでしょうか。
藩政時代から積み上げてきた伝統芸能・伝統工芸が今も現役で魅力を放っている街、金沢。
その金沢で一番の老舗という立場に誇りを持ちながらも、伝統に甘んずることなく、常に新しい形を模索し、美と高い技術力を継承し続ける目細八郎兵衛商店は世界に誇る日本の宝であると筆者は考えます。
金沢に訪れた際は、是非お立ち寄りになってみてください。
古き良き日本の伝統をより深く、肌で感じることができると思います。
目細八郎兵衛商店のWebサイトはコチラから
お世話になりました!
またお伺いさせていただきます。
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